Symphony V
持って来てくれたコップを片手に、稜夜とレオンと3人でドリンクバーに並ぶ。何を飲もうかと迷っていると、少し離れたところから、女の子の声が聞こえてきた。

「ねね!ドリンクバーのとこにいる人!すっごいかっこよくない?」

「あ、私も思ってた!てかさ、あの金髪美少年の連れだと思わなかった!」

「あの子チョー羨ましいよねー」

誰のことを言っているのか、すぐにわかった。そして、羨望の眼差しがちくちくと刺さってきて痛い。唯はさっさとウーロン茶をコップに注ぐと、そそくさとテーブルに戻った。

ドリンクバーの使い方をレオンに教えている稜夜。かっこいい稜夜に綺麗な顔立ちをしたレオン。


すごいなぁ…絵になる。ホントに。…ってあれ?


うっとりと2人をテーブルから眺めているときに、ふと、唯はレオンの顔を見て何かが引っかかった。


どっかであの人…見たことある気が…


うーん、と唸っていると、稜夜達がテーブルに戻ってきた。難しい顔をしている唯に、首を傾げながら声をかけた。

「どうした?」

聞かれてはっと我に返る唯。

「いえ、なんでもって…あぁ!」

レオンの持っているコップを見て思い出す。正確には、レオンの手を見て思い出した。

「どうしたの?」

びくっとなる2人に、唯は慌てて手をふった。

「やや、すいません、急に大きな声出して」

しゅん、と顔を真っ赤にして小さくなる唯をみて、レオンは笑った。

「面白いね、この子」

恥ずかしさのあまり、さらにしゅんっと小さくなる。

「あんまりからかうなよ」

稜夜も少し笑いながら、席に着いた。
< 22 / 247 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop