【長編】sadist and masochist love stories
「お父さんは、浮気なんてありえないの。
女の人がいたら、浮気じゃなくて本気なの。
だったら、女の人からじゃなくてお父さんから言うはずなのよ。」


いろんな夫婦の形があるのはわかるけど、うちは特殊なんだなって実感する。


「で?
母さんは、なにかするの?」


「当たり前じゃない。」


湊司も黒くなってきたよ。


この親子怖い。


俺も同じ血が通ってるとは思えない。


「父さんになにかするの?」


「陽生、なに言ってんだよ。
女の方に決まってるだろ。
世の中の厳しさがわからないなら、地獄に突き落として教えてあげるに決まってるだろ?」


決まってるって。


湊司の笑み怖いから。


「湊司は、わかってるわね。
陽生。
お父さんは、なにも知らないのよ。
なら、お父さんが知らない間にその女の人に思い知らせるのが優しさよ。」


俺、絶対に母さんと湊司を敵にしない。


仕打ちが怖い。


俺、これだけで怖いのに。


なにをするまで聞けないよ。
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