ただ、声をあげよう。

ばかたれ

目を覚ますと朝8時だった。

明生を起こすことも、朝ごはんを作ることもないからすこし朝寝坊をしてしまった。

じいちゃんもばあちゃんもおらず、あたしは布団の上にゆっくりと身を起こす。

妊娠7ヶ月、さすがに朝起きるときは前みたいに身軽に起きられない。


味噌汁の匂いが漂ってきて、あたしは台所に向かった。

すでに、朝食の準備が整えられていていた。

じいちゃんが「NHKをつけてくれ」といったけど、普段あたしはNHKなんて見ないから画面を見もしないで勝手にテレビのチャンネルを変える。


じいちゃんはどこかに電話をかけていた。

じいちゃんちは今時珍しい黒電話。


受話器を上げるときと置くときにちん、と音がする。


ばあちゃんは、だっこちゃんとキューピーちゃんをわきに座らせてきちんと手をひざに置いていた。

目があって、挨拶をしたけどばあちゃんは首をかしげるばかりだ。

きちんと撫で付けられた髪をひっつめに結わえて背を丸めてる。

今にも前と同じように美幸、って言ってくれそうなのに。

ばあちゃんの目はキューピーちゃんに向けられたままだった。


テレビから音が聞こえてきて画像がはっきりと映し出された瞬間、信じられない映像があたしの目に飛び込んできた。


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