戦場に、一輪の花が咲いた
「だからね、リリーは平和の歌を歌うの。」



リリーは隣で歌い始めた。



この歌、知ってる。



どこの国の歌かは分からないけれど、昔母が歌っていた。



懐かしく、どこか優しい歌。



気がつけば、ライルもリリーと一緒になって歌っていた。



教会には、リリーの優しく柔らかい歌声と、ライルの低い声が響いていた。



歌うライルの横顔は、平和に暮らす少年達となんら変わらない



ステンドグラスから差し込む太陽の光は、ライルの血色の悪い肌も温かい色で包んだ。
< 24 / 53 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop