One Way Ticket 2
何を着ていけばいいのか

ヘアにメイクも

鏡の前でドタバタしている私を尻目に

那智はすました顔で電話していた


「ああ、良一?
これから出るから。

…そう千香も一緒。

わかった。じゃ。」


あれから
那智は良一さんとご飯を食べに行ったりしてる


少しずつ溝を埋めていくって言っていた


「千香?
いつまでやってるの。
置いていくよ?」


ひょいっと覗いた那智
並んで鏡に写る


相変わらずカッコイイ那智優しく私に微笑みかける

「可愛くしすぎじゃない?」
そして
髪に口付けた那智


いつの間にか
自然なことになっていた


那智の隣


「那智…。」


「ん…?」


向かい合い
手を握った


大きくてきれいな手

「愛してる。
ずっとそばにいてね。」


心からそう祈った


もっと愛してもらいたい
もっと愛したい


「千香…」


那智が私の左手の薬指にピンクゴールドのリングをはめた


小さなダイヤが輝く


「愛してる。

今すぐって訳にはいかないけど…

ここを俺の専用にしてほしい。」


優しくリングを撫でてキスをした那智


「それっ…て。」


「…そこから先は、いつかな。

いくぞっ!」



駆けだす私たち


不安も苦痛も
あなたとだったら乗り越えていけるよね…


握りしめた
“片道切符”

ここが終点かどうかは
わからないけど

どこまでも
二人で走っていこうね





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