君と歩む夢みて~時は平安~



懐かしい、天竜の匂いが鼻を掠める。



安心する、天竜の匂い…。



「黄泉様の仰りたいことはわかっておりまする…。だからこそ、今宵は私と一夜を共に致してください…」



身体を抱きしめる力が徐々に強くなってくる。



「私も…天竜と、一夜を共にしたい…ッ!」



呟かれた言葉と、共に私は天竜の背中へと手を回した。



愛しい人との、…最後の夜。



きっと…一生、忘れることのない夜になるだろう。



抱きしめ合うなか、何度も天竜の「愛しています」そんな言葉を、聞きいれながら…



私も「愛している」そんな言葉を返しながら…



夜を、迎える。



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