君と歩む夢みて~時は平安~



「天竜…っ。私はいったい…何を…っ」



異常な胸騒ぎがさっきから止まらない。



「何か…あったのですか?」



私を宥めながらその訳を聞こうとしてくる天竜。



私を撫でる天竜の手は…いつも温かい。



「胸騒ぎが…するのだ。」



「何故です?」



「私にも…良くわからぬ。貴族たちの陰口など…慣れていたはずなのに…何故か怖く思うのだ。」



安心したのか、少し落ち着いてきた。



ゆっくりと天竜に先程あった出来事を話す。



「私にも…心当たりはありませんが…。恐らく、咲威と弦も。」



「そうか…」



その時だった。



部屋の襖が開き、多恵が正座をして頭を下げている。



「多恵…?」



多恵から発せられた言葉に…



< 82 / 230 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop