Sweet〜甘クチ王子様と夏の恋〜


そんな私にそっと触れて


『わかった、言わないよ』

って言って杏ちゃんは頭を優しく撫でた


「ありがとう…杏ちゃん…」


「でも、萌音、犯人が早く見つかるように凌弥だけには話させて?」

名波君に?

「凌弥なら同じバスケ部だから何か分かるかも知れないし、早く解決しないと…もっと酷いことになるような気がするんだ…」


昴君に知られる前になんとかしたいと思った私は


コクンと頷いた


「じゃあさ、放課後凌弥に話してから実習室行くね。」


今日は火曜日で
放課後いつもの場所で昴君と差し入れを食べる約束をしてた

「うん…」


「一人で実習室まで行ける?」

杏ちゃんが心配そうに聞いてくる


本当は怖かったけど

「平気だよ。」

って笑って見せた…


「よし、じゃあ今日も一日頑張ろっ!!」

杏ちゃんの笑顔にうながされ

私は教室に向かって歩き出した


きっと解決する……


そぉ信じて……




その日の放課後


そんな朝の会話を犯人が聞いていて



杏ちゃんが言葉にした『もっと酷い事になる』


が現実になるなんて


まだ誰も知らなかった



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