Sweet〜甘クチ王子様と夏の恋〜

私は昴君の手から携帯を取った


「ごめんなさい!!すぐ消すから!!」


別れたあとケジメだからって何度も消そうとした


だけど消せなくて


写真だけでいいから昴君を見ていたかった


携帯を握りしめ俯く私の頭を
大きな手の平が優しく撫でる


そして

「ありがとう…」


って穏やかに口にした


パッと顔を上げると優しい瞳と目があう

「俺は、ずっと萌音が好きだから…」



そぉ呟いたあと


そっと唇を手でなぞり


保健室を出て行った


昴君……


「ヒック……」


出ていく背中を見つめながら私は静かに涙を流した


別れるって事は抱きしめたり


キスもされないんだね


分かってた筈なのに


昴君がすぐ傍に居て叶えられない思いが


凄く淋しくて


別れるって事の切なさを初めて知った



外では体育祭の練習で盛り上がる生徒達の歓声が聞こえる


昴君と私の関係

そして


青矢先輩……


どこまで本気なんだろう


私の心は


これから待ち受ける恋の嵐に


不安にならずにはいられなかった






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