Sweet〜甘クチ王子様と夏の恋〜

「あんなに脅されたのに首を縦に振らなかったのは、偉かったな…」


穏やかに


優しい低い声で口にした


青矢先輩の顔を見ると
小さく微笑みながら私の事を見つめてた


「うっ……ヒック…」


その優しさに安心したのか

一気に涙が流れてくる


「泣くんじゃねぇよ。泣く女はウザイんだよ。」


「ご…めん…なさい…」


迷惑を掛けたくなくて涙を止めようとするけど
なかなか止まらない


「今…泣き止み…ます…」


涙声で口にすると


−ハァァ……


って青矢先輩が溜め息をついて


「仕方ねぇな…」


って口にした


「先輩??」


顔を上げると


えっ……


私は青矢先輩に抱きしめられていた


「青!!」


「いいから黙れ。」


驚く私の言葉を遮り


「仕方ねぇから胸貸してやる。だから泣きたいだけ泣け…」


って口にした


青矢先輩……


「ウック……」


甘えちゃいけない


分かってるけど先輩の手が背中を心地いいリズムで叩くたび


涙が溢れてきてしまう



< 165 / 236 >

この作品をシェア

pagetop