Sweet〜甘クチ王子様と夏の恋〜

杏ちゃんの温もりに支えられながら
また校庭を見つめる


ねぇ…お願い…


私はもぉ逃げないから


ちゃんと青矢先輩に謝るから




昴君


勝って……



こんな臆病でダメな私にもぉ一度チャンスを下さい


そんな私の願いとは裏腹に


中盤に差し掛かった時昴君のスピードが落ちた



昴君!!!



やっぱり足が痛いんだ


少しだけ足を庇うように走る昴君から


青矢先輩が少しだけ前に出た



残り50メートル


私は杏ちゃんの手を離し前に出た



そして


有りったけの声で叫んだ


「昴君!!!頑張って!!」



他の子の達の声援で掻き消される私の声




だけど


奇跡なのか

偶然なのか


昴は走りながら私を見た


「お願い!!!勝って!!」


気付いてくれた昴君にもぉ一度叫ぶと


昴君は真っ直ぐ前を見て走り出した



昴君……



あと10メートル


5メートル



お願い…神様!!


青矢先輩と昴君が横に並んだ


昴君!!!



目をギュッと閉じ


両手を握って祈る


それと同時に


−パンッ!!!


ゴールのピストルが鳴りリレーが終わった


どっちが勝ったの


私がそっと目を開くと



アナウンスが流れた



『只今の総合リレー勝者は…』



昴君……



『紅組です!!!』



えっ……



勝ったのは青矢先輩だった





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