Sweet〜甘クチ王子様と夏の恋〜

「すっ…昴君の意地悪!!」

顔を手で隠して下を向くと
彼の手が私に延びてきてそっと髪に触れた

「あれはただのギャラリー。萌音とは違うから…」

えっ…

顔を上げて昴君を見たけど
横を向いていたからどんな顔をしているのかは分からなかった


それってどうゆう意味??

私が頭の中で色々な思いを巡らせていると


「おーい昴!!」

中庭の入口から声がした

え…誰??

声がした方を見ようとしたら

「ヤバッ!!名波…」

と小さい声で呟いたと思ったら腕を引っ張られて抱きしめられた


「すっ!!」

声を出そうとしたら口を塞がれて

「しっ…黙って…」

耳元で囁かれた……

えっ!!何で何なの!!

昴君の心臓の音が聞こえる位近い距離で頭がクラクラしてきた

近すぎておかしくなりそうだよ…


「何だよ…昴どこ行ったんだよ…」

名波君はキョロキョロしてるけど彼の場所から私達は調度死角になっているみたいで気付いてはいなかった


「監督が呼んでるから探しに来てやったのに…」

名波君は小声で呟いて体育館に戻って行った


「あっ…あの昴君!!」


私は昴君の手を口から外して話し掛けた

「悪ぃ!!苦しかったよな!!」

慌てて申し訳なさそうに少しだけ体を離した

「ううん…いいんだけど、何で隠れたの??」

「あぁ…だって萌音との秘密の時間邪魔されたくないじゃん」

サラっと言った彼の言葉に私の胸は激しく高鳴った


何でそんな事ばっかり言ってくるの…

私は期待していいの??

昴君を見つめながらそんな事ばかり考えていた


「そういえば名波…監督が呼んでたって言ってたよな!!」

いきなり昴君が口を開いた

「えっ!!そうだよ!!行ったほうがいいんじゃない!!」


「だよなぁ!!萌音一人で帰れるか?」

「平気だよ杏ちゃんが待っててくれてるから♪」

「杏ちゃんて…沢田杏果??」


「うん。知ってるの??」

「名波と同じクラスだろ…まぁいいや!気をつけて帰れよ!!」

そぉ言って頭を優しく撫でた



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