【CORORS①】虹色の扉

【三】悪夢


いつの間にか、陽菜とワカメ男。
私とトサカ男に別れている。

警戒しきっている私は、半径10cmの間隔をあけて。

本当は、もっと開けたいのだけど、離れたら寄ってくるのよ。

だから、これが限度ということで。

「もしかして、キミは彼氏がいたりする?」

「ま、まぁ」

いないけど、
『いない』
なんて言ったら何されるか分からないもの。

「でも、ここにはいないでしょ?」

「えっ!?」

「今だけ。
 もう夏は終わったけどさ、一時の青春ってやつ楽しもうよ」

私が保っていた10cmの壁が崩された。

トサカ男の左腕が素早く私の右肩を通り越し、左肩に乗っかった。

「……」

「可愛いね」

そんなこと……

肩に乗っかっている手がゆっくりと腰の位置まで下ろされていく。

好きでもないのに、身体の温度が上昇するのが自分でも分かる。

どうしちゃったのよ?

これが、最愛の彼氏とかにされているのなら、嬉しいドキドキがあるのだろう。

でも、今ここにいるのは出会ってまだ10分しか経っていないチャラ男。

傍からはどうみられているんだろう?

チャラ男にひっかかったナンパされた女?

よく似合う恋人同士?

間違っても兄妹には見えないよね?

どれも嫌よ。

だけど、今日一日なら。

そう思ってとりあえず愛想笑だけは振りまいていた。

だって、仏頂面をしたせいでトラブルに巻き込まれるとかよく聞くでしょ?

そんな事はもっと嫌。



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