【CORORS①】虹色の扉
【四】黒い契約
自分の部屋にいたはずなのに辺り一面真っ黒。
悲しみに包まれいるかのような暗闇。
美郷?
会いたかったよ!!
ここが何処でもいい。
大好きな美郷に会えたのだから。
『一つの契約を交わしたのよ。
私の願いを叶えてくれる代わりに命を捧げるってね』
どうして?
そんな事したら生きられないじゃない
『私は、貴女が大っ嫌いだった』
えっ?
それは、想像もしていない言葉だった。
『私がこの選択をした時、貴女は恋に憧れる事を辞めたわ。
それは、私にとって最高に都合のいい事だった。
命なんて惜しくなかったわ。
彼の心に私が留まってくれるのなら。
初めのうちは、私も彼の心の中にいられたの。
でもね、時が経つにつれて彼の中で私という存在が薄れていったの。
どうしてだかわかる?』
彼女は悲しみに耐えるように声を震わせて更に続ける。
『彼はね、ずっと貴女を想っていたのよ?』
──嘘!?
『貴女に取られたくなくて、ずっと振り向いていて欲しくて色々小細工してきたわ』
貴女は誰?
本当の美郷はもっと良い子よ?
いつも私を一番に想って──
『私は、美郷よ。
貴女、15年も一緒に暮らして私の本質も見抜けなかったの?
良い子を演じていただけよ』
嘘よ。
これは、悪い夢だわ
『言ったでしょう。
私は貴女が大っ嫌いだったって』
………
ずっと仲良しで、大好きだった美郷が……そんな……。
『ねぇ千郷、私と変わってよ!!
貴女と私は瓜二つだもの入れ代わったって誰も気が付きやしないわ。
私の事を哀れに想うんなら生と死の魂、入れ替えてよ!!』
無理だよ
『出来るわ』