【CORORS①】虹色の扉

「今日は撮影はないから、ゆっくり寛いでね」

 いつもに増して不気味なほど優しい顔をするマネージャー。

 こういう時って何か裏がある。

 伊達に観察していないんだから。


「なんだか、私まで厚かましくてスミマセン」

「何言っているの。
 ツバサが連れて来たんだから、期待してるわよ」

「あ、はい」

「貴女、ツバさと同じ学校よね?」

 急に真剣な顔つきになり腕組みしはじめた。

 何か問題でもあったかな。


「バイト……禁止よね?」

「ええ」

 忘れてた。

 バレたらまた、星野が大騒ぎするな。


「ちょっと来て」

 木崎さんは梨乃だけを連れて、別室に行ってしまった。




 小一時間くらい経ったのだろうか。

 静かに部屋の扉がノックされた。


「どうぞ~」

 マネージャーや梨乃なら、勝手に入って来るだろうし……。

 開いた扉の先には──。


< 158 / 191 >

この作品をシェア

pagetop