【CORORS①】虹色の扉

マーメイド


 リキは、暫し海を睨みつけている。


 「場所変えるぞ」

 「……?」

 「今日の波は少し高めだからな。先ずは潜れるようになるのが先だろ?」

 「……はい」


 浜から少し離れたところまで歩かせられた。

 林の奥に、小さな建物がヒッソリと建っている。


 「ここは、少し深いが潜る練習には最適だからな」


 建物の中に、奥行きが10メートルくらいの小さなプールが設置されている。


 「じゃ、梯子を一つずつゆっくりでいいから下りて行って」

 「はい」

 「いいか? 怖がるんじゃないぞ」
 
 
   コクリ

 首を縦に小さく振る


 「肺いっぱに大きく息吸い込んで、中に入ったらゆっくり息を出すんだ」


   スーーーッ

 言われた通り大きく息を吸い込む。


 「しっかり、目開けていろよ」

 リキに手を引かれ


   ブクン

 プールの下に
 
 あれ?

 昨日、千暁さんと潜った時は、水が怖くて怖くてしかたなかった。

 けど、怖くない。

 マスクをしていないから視界がボヤけるけど、リキの表情が読み取れる。


  ブハァ

 「よし、まぁ潜りは初めてにしちゃいいだろう。姉貴に上手く教わったんだな」

 「う、うん」

 「じゃ、もう一回」

 「はい」

 
 彼のスパルタ教育が続くけど、私も必死に学んでいった。




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