俺と葉月の四十九日
仕方ないって諦めなきゃならねぇ。


「どうかしたの?」

うつむき、足元を見つめながら俺は立ち尽くしていた。
考え事をしながら足を止めていたらしい。


視界の隅、安田の不思議そうな顔…。


「…何でもねぇ」


再び歩き出す。
安田は首を傾げたが、何も突っ込んではこない。

それがホッとする時もあるが、不安になる時もあるんだ…。


「聖矢さんって、ホントにお坊さんになるのかな?」

俺の隣を着いて来ながら、安田は笑う。
俺は、平静を装う。

頭の中の迷いを安田に悟られない様に。


「大学行ってんだし、なるんじゃね?」
「お坊さんって風じゃないね?」
「そうだな」

確かに。


茶髪に長髪、ガラ悪すぎ。


「顔は、ブル田を男っぽくした感じだね?」
「ああ」
「カッコ良かったよね?ホストみたい」
「チャラい感じじゃね?」
「でも、話はすごく良かった。解りやすかったし、何かすっきりした」

「そっか…」


良かったなって、言ってやればいいのか?

自分の考えは押し込んで、良かったな…笑えば…笑えればいいのに。


「ねぇ、圭ちゃん」


安田は立ち止まった。

つられて止まる俺を、まっすぐ見つめる。
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