俺と葉月の四十九日
だけど俺の手は、光を…葉月の身体をすり抜けた。


掴めない……!



何度も何度も…手を伸ばす。

光をかき集める様に。

そうすれば…葉月を掴めるかもしれない。


葉月…葉月…!


「一緒に帰ろう!葉月!」


行くな…行くな…。


「俺と帰ろう!」



光の中、薄れていく葉月の姿…。

嫌だ!嫌だ!


葉月は振り向いた。
微かに唇を動かしている。


「何だよ!聞こえねぇよ!」

腕を伸ばし、もがく俺に…葉月は笑顔を見せた。




それは…最後に見た葉月の笑顔だった。



光は葉月を包み、掻き消えた……。



夜の公園…残酷すぎるくらいの夜の闇…。



葉月は…居ない……。



「逝っちまったの…か…」


本当に…?


会えないのか?
もう、そばに居てくれないのか?


葉月……!


「バカじゃ…ねぇの……」


ホントにいくなよ…。

俺…虚しいじゃねぇか…淋しいじゃねぇか…。


何にもしてやってねぇ、お前を傷付けた事もあった。

なのに、何もさせないままで…。


それでも…それでも…。


好きだよ、葉月…。



一緒に…手を繋いで帰りたかった…葉月。
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