俺と葉月の四十九日
マオちゃんはペコリと頭を下げた。
可愛いらしい…菓子とかあげてぇ。

失礼な兄と違い、礼儀も正しい。


“マジ世話かけられてます!”

言いたくなったが、マオちゃんの礼儀正しさに免じて言葉を飲み込んだ。


「安田葉月です。突然おじゃましてすいません」
「いえいえ、どうぞごゆっくり」


安田の挨拶にマオちゃんは笑顔で返答。
さすが規律正しいキリスト教学院の…。



ヘ?返答?


…返答って?!えぇ?!



「どういう事?!ねぇ!」
「マオちゃんにも私が見えてるみたい」



…マジ?



マオちゃんに視線を移した。
マジで見えんの?!


「うち、お父さん以外はみんな見える体質なんです」

マオちゃんは、エヘヘと笑った。


みんな見えるんだ?
スゲェ…どんなファミリー?

あ、でも寺だしな。
ユーレイなんて日常茶飯事?なのか?
かなりマオちゃんも慣れてるみたいだし。


「お父さんは見えないんだ?」
「はい、母の家系に似たみたいなので、父は見えないんですよ」
「母に?」
「母は寺の住職ですから」
「尼さん?!」

スゲェ!
俺、尼さんって見た事ねぇ!


「何をしている、三谷圭介。早く来い」
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