草食系鈍感彼氏の射止め方

アタシは体を乗り出す。

「なぁ!
遼ちゃんは…遼ちゃんはアタシのことっ…」

そう言いながら机越しに彼に詰め寄った。


「…ちょっ
…うめちゃんっ!
近いって、近いってばっ」


慌てて後ずさりした遼ちゃんの眼鏡が少しズレる。

彼は中指でズレたメガネを直し
そしてすぐに笑顔に戻ってこう言った。



「僕はうめちゃんのことが好きですよ」



あまりにもサラッと言うからアタシは余計にわからなくなった。

じゃ…。
その好きっていうのはどういう…?

雫石さんがアタシのことを好きだっていうのと同じ種類のもの?

それとも?

アタシはそれ以上
怖くて聞けなかった。

< 237 / 319 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop