―偽愛―

さよならの詩 『海翔』





突然 広海が海に行こって誘う



俺達は 少し寒い 砂浜をあの頃の様に手を繋いで歩く


“今日は月が隠れとって あんまり月明りがないけん 手、離さんとき…”


広海が ギュッと手を握る



静かに 黙ったまんまの広海



“どうか したんか?”


“どうも せんよ。………海翔、kissして…”


珍しく kissをせがむ広海



軽くkissをする



あの時みたいに たくさんたくさんkissをする

軽いkissや 甘い濃いkiss


お互いを確かめ合うみたいに 何度も何度も




………?




広海の頬に 触れた時 冷たい何かが広海の頬に流れていた


暗くて 分からなかったけど… たぶん 涙




俺には その涙の理由が分からなかった
…もしかして 広海の記憶が戻る、前触れなのかと思った



“どう?…思い出したか?…こうやって、たくさん ここでチューしたんで…”


“…思い出せないよ。それよりも、もっと思い出すように…して…”


今日の広海は 少し変だ…




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