mixed Emotion

泡の命

窓の外が高層ビルから段々と田園に変わっていく。

「ねぇ、ゆり今日やたら携帯気にしてない?」

目ざとい美玖にはそのうち言われると思っていた。まぁ、相手が誰でも今日だけで、もう何十回と携帯を開いては閉じる私の動作は異常に見えるかもしれない。私は事のいきさつを美玖に話した。

「うわ〜、ゆりも結構ヘビーだったんだね。ごめん!私自分のことばっかりだったよ」


謝られると余計に悲しくなる。私は不安定な自分の気持ちを振り切るために、携帯を握りしめて美玖に宣言した。


「彼女とヨリ戻すって言われたら、きれいさっぱりつかさ君のことあきらめる!」

「ほぉ〜、そんな簡単にあきらめれられるの〜?」

まるでデジャヴみたいに、以前にも似たような会話の記憶が蘇った。
変わり映えのない二人だ。

あきらめられるのかな?私…。

きっと、相当時間がかかるんだろうなぁ。

しばらくすると二人同時に携帯が鳴って、内容を確認すると理香ちゃんが、
『ちょっと2人とも!私のこと完全に忘れてない?』

とメールを入れてきたので吹いてしまった。

「そろそろちゃんと仲直りしなきゃ」

美玖の言葉が私を少し、前向きにしてくれた。
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