mixed Emotion

羊の見た夢

いつもの放課後

美玖に誘われて、

例のカラオケ屋さんにむかう。

あれから何度か二人でここを訪れたが、

いつも、もしかしたら会えるんじゃないか、

という期待が一緒についてくる。

まだ一度しか会っていないし

顔もよく覚えていないのに。


きっと妄想が膨らんでいるだけで、

実際次に会ったら何とも思わない、そんな程度なのかもしれない。


必死で自分に言い聞かせても、
勝手に脳が彼のことを気にさせる。

しかし毎回その気持ちは裏切られ、

再会することはなかった。


今日という日までは・・・。



「あれ・・・つかさ君じゃない?」

同じチェック柄の制服を着た女の子の腰に

左手をまわして歩いているのは


間違いなく



彼だ・・・。


遠めから見たその彼女の明るく染めた髪には、

パーマが当たっていて、シャツのボタンが2番目まで開いているので、


制服を着崩している雰囲気があり、

彼とよく釣り合っていた。


なんだ


彼女がいたんだ


そりゃあいてもおかしくないよね。



一人気まずいムードになり、


うつむきかげんで彼らが通りすぎるのを待つ。

すれ違いざま

腰をポンと押された感じがしたので振りむくと、

彼は首だけこっちにむけて、笑っ‥‥た?


え・・・?


何?


彼女を横にして

あの嬉しそうな笑みは一体‥‥何?


だいたい彼女がいるのに
合コンに来る人だったんだ。
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