アザレアの花束を


空がだんだん、明るみを帯びた青に染まってくる。


遠くのほうでは、朝日、と呼ばれるものが顔を出そうとしていた。




俺、どうなるのかな――……?


次、目を覚ましたときは、誰も傷つけず幸せになりたいな。




日が雲の間を抜けて差し込んできた。


俺の目に飛び込んでくる光。




意識が遠のいていく。


いつかのあのときのような感覚。


視界がぼやけて、

頭が真っ白になる。


それでも痛みはないから不思議だ。




今更だけどさ、俺吸血鬼でも幸せだったよ。










……――そして、ぷつりと意識を失った。








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