キミは許婚


現れたのは豊満な顔を綻ばせた父だった。



「なんだ……お父さんか」


「なんだとは何だ!」



……そうだよね。


ホントなんでこんなにがっかりしてるんだか。



「この辺りで仕事があってな。明の姿が見えたから……」


「仕事って……お父さん、もう身体は大丈夫なの?」


「あぁ、あれからなんともないよ」



白い歯を見せてニッと明るく笑って見せる父。



それはいつもの笑顔で……


心配ないって思ったんだ。
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