キミは許婚
「あ、あの……どなたですか?」
怯えたまま名前を尋ねると
「上条不動産、社長の上条です」
無愛想に、小さい声でボゾボゾと、嫌々喋ってますというのが手に取るようにわかった。
不動産会社ということは父の会社関係の人なんだろう。
「一応挨拶した方がいいよね……」
必死に涙を拭いて玄関に出てみると
「ご自宅に押しかけてしまい申し訳ありません。本日は佐原社長に……」
……覇気がない、社長やらされてますっていう男の人。
「父なら出かけてます」
あたしの答えに男の人は眉を寄せた。
……まるで、面倒だと言うように。