キミは許婚


「加減、出来ないから」



そう言って軽いキスをした後、聖はあたしを抱きかかえた。



「わ、聖っ! あたし歩ける!」


「俺が抱えた方が早い」



そんなことないと思う!


誰も見ていないとはいえ、お姫様抱っこは恥ずかしい。



「歩く、ていうか走るから!」



あたしの声も空しく、聖は抱え続けたままあの部屋までやって来た。


そして身体を使って器用にドアを開ける。



「わ……! 綺麗っ!」



聖に抱えられたまま初めて入った寝室は、外に面している壁一面が窓になっていた。
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