◇冬の女王サマ◇
居残り練習

「・・・ぜ
 ・・風
 春風ッッ!!」
「あ・・何ですか?」
私はボーッっとしてたらしい
先生に呼ばれてるのに気付かなかった
「何ボーッっとしてる
 曲の進み具合はどうだ?」
「・・あ、まぁまぁです」
「そうか
 がんばれよ」
「ありがとうございます」



はぁ・・ほんっとヤダな。
私は絶対なっちゃんにはかなわない
なっちゃん、かわいいし



誠の好きな人
柚香ちゃんじゃなかったんだ
2ヶ月ぐらいって言ってたな・・



ピーーッ
あっ・・
考えすぎて
意味不明な音を出してたらしい
誠と目が合う
私はそらした


「うるさい・・」
誠が私に言う
「すみません」
「・・なんで敬語?」
「練習に関係ないんで」
「いや、でも・・」
「ほっといてください」



「いや、もう練習終わり」
「教えてくださって
 ありがとうございます」
「・・・・???」


私は機械みたいに
楽器をかたずけ
フラっと出て行った。
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