勝利の女神様?!
体育館内が静寂に包まれているためだ。
 
誰ひとり声を漏らさない。
 
そんな静寂の中で俺は呆然と斜め左に視線を向ける。
 
そこには一人の女生徒がいた。
 
俺はその女生徒を見た瞬間、身体が硬直した。
 
目がそこから動かない…
 
情けないが直視した状態が続く…
 
校長は長々と話し続けているらしいが、そんな言葉も徐々に聞こえなくなっていくようだった…
 
それどころか、俺の周囲にいた誰もかれもが居なかったように見える。
 
そう、その女生徒以外は目に入っていない…
 
そうして、見ている間に胸が…
 
(…く、なんだ?)
 
胸がなんだか熱くなるのを感じた。
 
俺は固まっていたはずの身体を必至に動かし、胸に手をやった…
 
後は、入学式どころではない…
 
手を胸に置いた状態でその女生徒を見据える。
 
校長の長々した話しが終わったのか…
 
それ以前に式は進行しているのか…
 
なに一つわからなくなっていた。
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