―ユージェニクス―
‖Afterwards.And,Reunion with…

―1―




「ちょっと待ってよ…人見知りの僕達をこんな見知らぬ人達に任せる気?」

「どこが人見知りなんだ、特にオマエ、人喰ったタチのくせに」


……Bブロック診療所前。

拜早と咲眞をそこで下ろし、管原は助手座ったまま。
抜けられない用事があるらしく今からどこかへ行くらしい。

……あの屋敷を出発する時から運転席にはジャンパーを着た男が座っているが、おそらく研究所の人間だろう。


「その抜けられない用事ってなんだよ」

「デ・エ・トw」



「……あーなんかお腹空いたね」
「冷蔵庫漁れば何かあんだろ」
「あ、スルー?スルーかよ。まぁいいけど」


車からさっさと離れ診療所の扉を開ける少年二人。

その横、眼鏡の男が管原を覗き込む。

「後は俺達がやっておく」
「そーそ、管原はデェト、楽しんできて?」

もう一つの声はつい今ここで合流した白衣の男から。

「おぅ、処置は任せるけどな…」
管原は車の窓に肘を掛け、そんな白衣二人を見上げた。

「拜早の怪我の状態、あの二人には言うなよ」

既に少年達が入って行った診療所を見やる。

「大丈夫だよ……上手くやるさ。ねー勅使川原」
「俺がやるのか」
「だって突然現れた俺じゃ警戒するかもだからね、大怪我の処置」

もっともそうな事を言ってその男…塔藤はにこりと笑った。

「じゃ任せたわ…俺今日向こうで寝るから、何かあったら後ヨロシク〜」

「ハイハイ、頑張ってね〜」

お互い軽口を叩きつつ、車は発進される。


既に時刻は完全な夜。
車のエンジン音が消えると、診療所の周りは静かになった。


「……ごめん、管原」

もう見えない車へ呟いたそれは、他に無駄な音が無い為必然的に勅使川原の耳に入る。


「…謝るな、あいつは自分から行ったんだ……それに」

「ああ……けどね」

苦笑する。
管原は自分を立ててくれた。
それを呑んだ自分自身にも苦笑している。

「俺は駄目班長だなぁ」

「班員がしっかりしているから問題無い」

ぴしゃりと言われたその言葉が、塔藤は妙に可笑しかった。

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