涙のアト
 
 
 
私が疑いの眼差しで一輝を見ると、それに気付いたらしく、真剣な表情に変わった。
 
 
 
「ごめんなさい」
 
 
やっぱり!
 
 
じゃあ…何で?
 
 
 
「怒ってる未来が、あまりにかわいいもんで…ついつい…」
 
 
 
………。
 
はぁ〜っ!?
 
 
 
「ついついで、するなっ!」
 
 
「いいじゃん、減るもんじゃないし」
 
 
「そ、そーだけどっ…仮にも私は今、傷心の身なのよ!」
 
 
「…まだ忘れられない?」
 
 
「え?」
 
 
 
それだけ言って、一輝は真っ直ぐに私を見つめ、答えを待つ。
 
 
 
忘れられない?
 
 
まだ引きずってるの?私?
 
 
 
寛人の事を思い返してみるものの、意外に軽くなってる私の心。
 
 
「どうだろ…昨日よりかは…マシ…かな」
 
 
「そ、よかったじゃん♪」
 
 
 
何で…?
 
気にしてくれてたの?
 
…何で?
 
あんなに泣く程だったのに、こんなに心が晴れてるの?
 
 
 
.
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