ココロノカケラ

二人の会話を傍観してると、

突然肩をつつかれた。

振り返ると、同じクラスの橘という男の子がいて、

自分の後ろを指差した。

日に焼けた、

背の高い男の子が、

そわそわとそこにいる。


「あいつ、どう思う?」


あたしは、訊いた橘の方をじっと見た。


「それ、あたしが答えなきゃいけない?」


「もちろんだ。

だってあいつ宮里のことが好きだから」


…で、自分で声もかけてこないとは、

なんて態度だろう。

ほとんど知らない奴に、

まったく知らない奴のことを

どうこう言えといわれても、困る。

なのに何で、こんなことするんだ?

ものすごく不快だ。

何も言わないで、

その場を去ろうかと思った。

けれど、それより先に、



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