【連作】そらにかなでし〜平安朝禁断恋草紙①〜
「さても、なるほど。十にもみたぬ稚児かとみれば、おとなのような口をきくものだな」

不意に差し挟まれた背後からの声に、一の君はたいそう驚きなさって、はじかれたように振り向かれますれば、一人の若者が、立ち居にて、静かにこちらをご覧になっておられます。

この方こそが、この御代を治められます、今上その人にございました。
< 25 / 40 >

この作品をシェア

pagetop