ハート

揺れる想い

彼との初めてのちゃんとしたデートは、

11月も半ばに入った、ある土曜日だった。



それまで私たちが共有したことがあった時間は、整骨院と、その帰りの車の中だけだった。


そんなある日
いつもの帰りの車の中で、週末に一緒に映画でも観に行こうと、まーが誘ってくれたのだ。


三国志を元にした映画で、まーはずっと観に行きたかったのだけれど、一緒に行く相手がいなかったのだと言う。
だから、私が一緒に行ってもいいと言うととても喜んでいた。

本当は正直、三国志の映画などあまり興味はなかったのだけれど、それよりも私はただまーと一緒にいたかったのだ。








その日、

待ち合わせ場所に行くと、まーの白いエスティマが待っていた。

それだけでもう自然に笑みが溢れてしまう。


いつものように助手席に座ると


「じゃあ行こっか」


まーが車のペダルを踏む。


「うん!」



こうして私たちの初デートは始まった。


< 17 / 78 >

この作品をシェア

pagetop