ハート

壊れたハート

「嘘…」


突然のまーの信じられないような告白に、耳を疑った。

頭の中が真っ白だ。





「嘘じゃないよ。本当なんだ。  前に付き合ってた元カノと九州帰った時に会って、そこでヨリ戻そうって話になったんだ。  ゆくゆくは同棲とか結婚も考えてる…」



「…そっか」


今にも溢れだしそうな涙を必死に堪えて、私は何とか冷静さを保とうとした。



「ナナ、ごめん。だけど、こないだ言った通り ナナとはもう前みたいな関係には戻れないんだよ」




「いいって…。全然気にしてないから。」


本音とは裏腹のことを言っている自分に腹が立つ。


けれど今自分を守るためには、こんな嘘をつくしかなかった。



「でも、彼女できたってナナのことはちゃんと大事にするからさ。 ナナが俺を必要とする限り、ずっと傍にいるし何でもするよ」




「ありがとう……」



そう言うのが精一杯だった。


それ以上何か言えば、我慢していた涙が一気に溢れてしまうだろう。





この日はそのまま、家まで送り届けてもらって まーも夜勤へ行った。






家に帰って自分の部屋へ入ると、我慢していた涙が一気にこぼれ落ちた。


そのままベッドに突っ伏して、何時間も泣き続けた。




泣いても泣いても・・・ この苦しみが消えることはないのに。

それでも泣かずにはいられなかった。










この日、私とまーの間にあった何かが壊れた。



それはたぶん、二人を繋いでいた温かいハート。


それが一気に壊れて、私の上に崩れ落ちてきた。




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