不思議の国とアリスのゲーム




そのあとも殴る蹴るを白兎にお見舞いしたアリス。





「ま、こんなところかしら」






アリスの足元にはのびた白兎が俯せに血まみれで倒れていた。



本当は一発殴ると蹴るでおわろうと思っていたアリスだが、白兎の態度があまりにも前向きすぎで止まらなかった。





「いいきみだ」





アリスの隣でボソッとそう呟いたチェシャ猫は、うっすらと笑った。



それを白兎は聞き逃さなかったのか、真っ白な(血まみれな)ウサ耳をピクリと動かした。





「チェシャ猫ですか。
気まぐれ猫が何故僕のアリスの隣に」





起き上がった白兎は血まみれでホラー映画を思い出す。





「気まぐれ猫だからこそ気まぐれで今動いてるんだよ。馬鹿赤兎」





「君に目はついてますか?僕はれっきとした白兎です」





「嫌々、今のあんたは赤だよ。
アリスに嫌われたって証の赤色だよ」





「僕は嫌われてなんかいません。
あれは照れ隠しですよ」





「うわー、そのポジティブ思考俺も見習いたいなー。まあ俺は死んでもルーイのようにはなりたくないけど」





「こっちだって願い下げですね」






いきなりの二人の口喧嘩にアリスはポカンとしたがすぐに一つわかったことがアリスにはあった。




(二人は仲が悪いわ。
それも物凄く!!)
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