このキズで俺はお前を縛る
雪乃がソファに行くのを見届けてから、事務所の裏に入った

携帯を鞄から出すと、兄貴の携帯に電話する

『あ…茶佑!
いいときに電話をくれた
雪乃がいなくなったんだ
探さないでくださいって手紙を残して…』

「ああ、それで電話した
俺のところにいるから」

『え?
どうしてお前のところに?
誰も、お前の居場所を教えてないんだぞ』

「知らねえよ、んなの
自分で探したんだろ
迎えに来てよ
俺の仕事場にいるんだ
場所を言うから…すぐに来いよ」

『ああ…わかった
すぐに行く』

俺は、仕事場所の住所を教えると電話を切った

ちらりと雪乃の様子を見る

愛子と携帯を握り合って、メールをしているようだ

良かった

どんなやり取りをしているか知らねえけど

兄貴が来るまで…飽きずにいるだろ

俺は事務所の椅子に座ると、深いため息をついた

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