このキズで俺はお前を縛る
ああ、早く化粧を落として、シャワーを浴びて、ベッドに横になりたい

何も考えずに、眠りてえ

俺は鞄から、家の鍵を出していると足もとの影が動いた

あ?

俺が顔をあげると、雪乃がでかい鞄を持ってしゃがんでいた

ああ?

なんでいんだよ

なんで俺のアパートを知ってるんだよ

『泊らせて』

雪乃が手話で言ってくる

はあ?

泊らせて…って何を考えてるんだよ

…てか、一昨日兄貴と帰っただろ

なんでまた出てくるんだよ

「帰れよ」

俺も言葉を発しながら手を動かした

『嫌よ
帰りたくない』

「なんで?」

『帰っても私の居場所なんてないもの』

あるだろ

…てか、俺より居場所がありまくりだろ

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