公爵夫人の子供
わたしの生まれは農家です。

かしずき倒れる大樹のもと、牛に囲まれてわたしは住んでいます。

独り身の母と、死んだ弟の思い出が、わたしの家族です。

このハッチに捧げられた緑野の山河に囲まれた村に、
荷馬車がやってきたのは、猛る夕日の鈴虫のときでした。

きれいな人だなあ、と女の――といっても、まだ十二ですが――わたしでもどぎまぎするおない年と見受けられる少女が、金髪で、碧眼の少女が村にやってきました。

たぶん、死神なんだとわたしは、なぜだか感じました。
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