神様がくれた1ヶ月
選択



「一命は何とか取り留めました・・。」



「すいません・・。ご迷惑をお掛けしました。」



「ところで、ご主人・・。あなたは生涯の伴侶より野球の方が大切ですか・・?」



私は妻が生死を彷徨っている事を知りながら甲子園で采配をした。
勝利が見えた9回裏に試合を抜け出し、病院に向かった。


私は妻の命より試合を選んだ。


「お父さん・・。」


「何だ・・。絵梨佳。」


「お母さんの容態が安定したら離婚してよ・・。」



「何を馬鹿な事を・・。」


「馬鹿はお父さんだよ!!試合前にお父さんに電話したよね!?
お母さんが危篤状態になったって!!」


「ああ・・。」


「試合は部長先生に任せて病院に向かうって言ったじゃない!!」


「すまない・・。父さんにも事情があって・・。」


「もういい・・。言い訳なんて。私、就職決ったし結婚してお母さんの面倒見るから・・。」


「何を言ってるんだ!俺に何も聞いてないぞ!」


「当たり前だよ。お父さんには言ってないから。」



パン・・!!



私はその日、初めて娘に手を挙げた・・。


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