僕様王子に全てを奪われてⅡ
「ぷっ、確かにそうね
愛子は許婚だったのに、振られたもんねえ」

冴子が楽しそうに笑う

でも目がさびしそうだ

すごく悲しい目をしている

「さて、トイレを借りるわ」

冴子がたちあがって歩き出す

「いてっ」

ガンっという音と同時に、冴子が痛そうな声をあげる

冴子?

左肩を開いたままのドアにぶつけていた

どうしたんだろう?

いつもはぶつけたりしないのに

ガタっとまた何かにぶつかっている音がして、廊下を見るとトイレのドアにまた左手をぶつけていた

「冴子?」

「わりぃ…動揺してんだ、きっと」

そう呟いて冴子がトイレに入った

動揺って……雪乃さんの存在に動揺してるってこと?

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