宙(そら)にとけて、しまう
マナミは心配半分、でもちょっと退屈していたみたいな様子で、わたしがどんな反応をしてもあまり気にせずに話している。

「どんな夢見てたか、覚えてないの」
「全然」
「きっと宇宙人とか地底人に連れて行かれる夢だね」

その言葉にわたしは急にどきりとした。
どうしてだろう。
そうだ、ヒデミと話した時に、確か……
どうしてだろう、同じ時間を何度も再生しているような、途切れ途切れに編集された映像を見ているような、そんな感じがする。

「宇宙?地底?な、なんで!?」
「何慌ててるの。だって、意味わかんない寝言言ってたから」
「宇宙人に連れて行かれそうだったら、日本語で助けてーって言うよ」
「あ、そうか。じゃあ、宇宙人と宇宙に行って楽しく暮らしてる夢だったんじゃない」
「何それやだ」
「意外と楽しいかもよ」
「うーんそうかな」
「宇宙の食べ物おいしいかも」
「そうかも。楽しいかも」
「あはははは」

また、いつものようなたわいのない話になる。
そのうち、ヒロカ、大丈夫なの、とお母さんが部屋に上がって来て、
二人とももう自分のベッドで寝なさいとか、お休みだからってだらだらしないで明日も早起きしなさいよとか、ヒデミ君にお礼言っときなさいとか、そんなことを言って行く。
ほとんどいつもの、ゆっくりつながる時間に戻った気がするのだけれど、やっぱりどこか変だった。

「ねえねえ」

真っ暗になった部屋の中、二段ベッドの下からまた、ヒロカの声がする。

「ヒデミちゃんていいやつだよね」


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