エージェント・レイ‐狂人の島‐
逃げなきゃ、逃げなきゃ、逃げなきゃ…!

頭の中にはそれしかなかった。

必死で両手を、膝を動かして、警察署の外に出ようとする。

出た所で、外にもこの警察官と同じ眼をした暴徒達が溢れ返っている。

しかしそんな事は、今は頭の片隅にもない。

とにかくこの場を出なければ。

この警察官と同じ空間にいては駄目だ。

殺される。

殺されてしまう…!

背中も顔も、戦慄で汗びっしょりになっている。

ノースリーブニットが、ベッタリと体に張り付いていた。

でも気にしている暇はない。

震えてうまく動かない体に、脳から無理矢理命令を送る。

前へ、前へ、警察署の外へ…!


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