エージェント・レイ‐狂人の島‐
「あら、アシュリーちゃんじゃない!」

突然名前を呼ばれて振り返る。

見れば、幼い時に島でお世話になったおばさんが立っていた。

「おば様、お久し振りです」

「あらまぁ、いい娘さんになったじゃない。今日は里帰り?」

「はい、長期の休暇が取れたもので…」

「そうなのぉ。私もね、三日ほど島を離れて旅行に行ってたのよ」

長い事会わないと、話にも花が咲く。

懐かしい顔。

懐かしい潮の香り。

まだ井戸水を使うような、時代に取り残されたような田舎の島だけど、私は故郷の島が大好きだった。


< 7 / 130 >

この作品をシェア

pagetop