エージェント・レイ‐狂人の島‐
島全体の焼却…。

私が思っている以上に、この島の事態は深刻になっているのだ。

暴徒化した島の人達を、最早救う事は出来ない。

できる事は、生き残った人間がこの島から生きて脱出する事だけ。

「しかしその前に」

レイは小屋の陰から顔を出す。

井戸の近くに、ライフルを握ったままのシバタが立っている。

彼がいる限り、この島から脱出する事すらできない。

「逃げ出す算段か?無駄な事を」

シバタはそう言って、意外にも手にしたライフルを地面に投げ捨てた。

「殺すなら、遠距離からライフルで頭を狙撃すれば事は済む。だが…アメリカ政府の狗たる貴様は、この手で直に嬲り殺してやりたい…その為にわざわざ姿を現したんだ」

< 93 / 130 >

この作品をシェア

pagetop