時 空 堂
「っ。はぁはぁ」
血がだらだらと腕をつたう。それを見て、動悸が激しくなる。
「もうっ、恭ちゃんが逃げるから刺し損ねたじゃない」
にこにこと笑いながら、血のついた包丁を持って近寄ってくる。やばい。このままじゃこいつに殺される。
そう思いながら、後ずさりすると、脱衣所が背後にあることに気がついた。とっさにそこに飛び込み鍵を掛ける。
「恭ちゃん、出てきなさい。逃げなくても大丈夫よ」
腕がうまく動かない。何が起きた?どうしたらいい。どうしたら・・・。
「誰か助けてくれ・・・、誰か」
鍵をかけた扉の向こうでがちゃがちゃと音を立てながら、あいつがドアノブを動かしているのが分かった。