時 空 堂




「っ、―――さんっ、じゅ、さんっ。潤さんっ、しっかりして下さい」

 遠くで声がする。体が揺さぶられているというのがわかった。

「・・・ん」

「あっ・・・、潤さん分かりますか?榊です。しっかりして下さい」

 ゆっくりと目を開ける。榊さんが顔色を変えて、俺の肩を掴んでいた。

「・・・あれ」

 俺一体どうしたんだろう?

「潤さん、一体いつからこんな・・・。何があったんですか?」

 ゆっくりと上半身を起こす。榊さんは乱れた髪を直しながら、座り込んだ。

「えーっと、あれ?俺・・・一体」

 何も覚えてない。どうしたんだろう。

 手のひらを見つめ、何があったか考えるが何も思い出せなかった。

「昨日来た時に靴はあるのに見当たらなくて・・・。違う靴で出かけてそのままなのかと思っていたら今日も帰ってきている様子がなくて・・・。それで家の中あちこち探したらこんな屋根裏部屋に」

 そう言われて、あたりを見回した。
< 321 / 426 >

この作品をシェア

pagetop