時 空 堂

 でも私を叩いたあとの龍は優しく、前と変わらない表情を見せたりもした。

 私の大好きな龍。

「おいで」

 優しい声で私を呼び、大きな体で優しく包んでくれた。

 でも安らげなかった。だんだんと恐怖心と警戒心が龍に対して渦を巻いていた。

 こんなこと誰にも知られたくなかった。相談なんて出来なかった。皆が祝福してくれた結婚だったのに。

 痣があるうちは人に会えなかった。

 もし知られたら龍はどうなるの?

 私は段々と家に篭るようになっていった。
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