Bitter&Sweet



ベンチの脇にある街灯の明かりに映し出された


鴨居とかいう男はオレの剣幕さに少し呆気にとられた表情をして立ち尽くしてた



「女の子をこんなに酔わせるなんて、非常識だ。
もう二度とオレの妹に声をかけるな」



キッと にらみつけると
鴨居はビクッと一度肩を震わせ



オレは姫を抱いて公園を出て



助手席のシートを倒し

車に姫を寝かせ

真夜中の道路、車を走らせた



通りすがりの車のベッドライト


道沿いの街灯のオレンジの光が


隣にグーグー眠りこけた
姫の顔を照らして



怒りと不安でぐちゃぐちゃになった頭と胸が苦しくて



強くハンドルを握り


アクセルを強く踏んだ



スピードが上がって行く度に



少しずつ熱はひいていく



姫が男といた。



例え、記憶を失くしても

姫は姫だと思ってた

オレのそばから離れない

子供の頃から変わらない

何も覚えてなくても

「みーくん」を忘れていても

姫は絶対にオレから離れない

そう思ってた



姫がオレ以外の男といるなんて


ほんの少しも想像出来なかった


――――――――――なのに



もしかしたら姫はオレのもとを去って行くのかも知れない



―――――――――ゾクッ


恐怖で身体が震えた


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