Bitter&Sweet



ラーメン屋さんを出て


人気のない夜道を


家に向かって歩いた


私の3歩くらい後ろを ゆっくり歩くお兄ちゃんの視線を



背中に感じて 落ち着かない



涼しい夜風が頬を撫でるように吹き抜けて



人差し指に
固い歯と柔らかい舌の感触が
急によみがえる



―――カァァァァァァァ……


なに思い出しちゃってんの?私



恥ずかしさに走り出したいくらいの気持ちになって



50Mくらい先に見えた
公園を指差して


「私っ!寄り道してくっ!」



「え?」



「お兄ちゃん、
先に帰っていいから」



お兄ちゃんの返事を聞かずに
逃げ出すように私は走って
公園に入った




四隅にある街灯が照らす小さな公園の真ん中に


今では
珍しいジャンルジムがあって



今日は白いふわふわのミニスカートだったけど



他には
誰もいないし構わず登った



ざらついた鉄のパイプの冷たさが懐かしく感じる



1番上のパイプを掴んだ時に



「何やってんの?」


少し呆れたような
お兄ちゃんの声が聞こえた



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